英語との出会い
長谷川勝行
高校のころは英語が大嫌いで、成績も五段階評価の2でした。ところが、ある時、英語が得意な親友からペンフレンドを紹介されました。私はあまり気が進まなかったのですが、親友に頼まれたので一回だけ手紙を書くことにしました。もちろん英語で手紙など書けるわけがなく、しかたなく本屋で‘英文手紙の書き方’と言う本を買ってきて、その中の例文を丸写しして手紙を出しました。ほっとしていたら、“あなたの英語は完璧だ”という賞賛の手紙が来てしまいました。“これは大変”と慌てて、また他の例文を写して返事を書きました。はじめは、一回だけでやめるつもりでしたが、文通はず続き、とうとう‘英文手紙の書き方’の例文は使いつくしてしまいました。そこで、一大決心をして英語を勉強し直すことにしました。中学一年の教科書から分からないところを徹底的にやり直して、例文を全部暗記しました。これが効果を挙げ、成績は一気に5になりました。成績がよくなればなるほど英語が面白くなり、勉強することが楽しくなりました。
高校卒業後は迷わず英語の専門学校に進みました。学校の勉強だけでは面白くないので、旅行のツアーガイドのアルバイトをしたり、英語の検定試験を受けたりして、自分で目標を作って勉強してきました。専門学校を卒業してからは、旅行会社に就職したのですが、やはり語学をもっと生かす仕事がしたくて会社をやめ、今の仕事を始めました。
あの時のペンフレンドとは今でも文通を続けいます。もし、あの時親友の頼みを断っていたら、そして手紙を書かなかったら、どうなっていたでしょうか。たぶん今ごろは英語と無縁の仕事をしていたのではないかと思います。そんなことを考えると、人生の“出会い”と言うのは面白いものだと思います。